アパートやマンションの暮らしで、「脱水が回ると下の階や隣に音が伝わるのでは」と気になる——洗濯機の音は、テレビの音のような「空気を伝う音」だけでなく、振動が床や建物を伝うタイプの音なので、防ぎ方の順番が違います。とくに脱水時の振動音は響きやすく、近隣に伝わりやすいとされています [2]。

結論から言うと、進める順番は**「①洗濯物の入れ方と設置状態の原因チェック → ②調節脚で水平にする → ③防振マットで床への振動を減らす → ④時間帯の運用で配慮する」**です。いきなり防振マットを買う前に、水平調整を先にするのが各社の解説で共通するポイントで、防振マットは「水平調整の代用品にはならない」前提です [4][5]。すべて、賃貸でも原状回復できる範囲(置く・調整する・運用で変える)で完結する手順に整理しました。

本記事では、音が大きくなる原因の整理から、水平調整の手順、防振マットの素材選びと色移り対策、夜間の時間帯の目安、苦情が来てしまった場合の相談手順までをまとめます。

まずお伝えしておきたいこと 本記事で扱うのは「洗濯機の振動・音を伝わりにくくする設置と運用」であって、音を完全になくすことを目的にしたものではありません。建物の構造(床の厚さ・鉄骨造か鉄筋コンクリート造か)によって音の伝わり方は変わり、入居者側でどうにもできない部分があります。また、賃貸物件での対策は退去時の原状回復が前提です。床や洗濯パンを加工する「元に戻せない施工」は対象外です。

目次

  1. 結論:先にやる4つ
  2. なぜ音が大きくなるのか:原因の4分類
  3. 原因チェックと水平調整:マットの前にやること
  4. 防振マットの選び方:素材と色移り対策
  5. 空気にのる音への対策
  6. 時間帯の目安と運用
  7. 苦情・相談の手順
  8. 原状回復:賃貸で後悔しないために
  9. FAQ
  10. この記事について
  11. まとめ

結論:先にやる4つ

細かい理屈は後回しにして、今日から着手できる順で4つ挙げます。

  1. 洗濯槽の中と周囲をチェックする:小銭・ボタンなどの異物が槽に入っている、排水フィルターにゴミが溜まっているといった「簡単に直る原因」が、騒音のよくある原因として挙げられています [1]。毛布やシーツに小物を一緒に入れてパンパンに詰めると、遠心力がうまくかからず振動・騒音の原因になるとされています [2]。
  2. 内蔵水準器(またはスマホの水準器アプリ)で水平を確認し、調節脚で調整する:本体が傾いていると振動が増幅されます [1][2]。多くの機種で調節脚(ねじで高さを変えられる脚)が付いており、固定ねじをゆるめて脚を回し、水準器の気泡が基準に入るよう調整するのが公式の手順です [5]。
  3. 脚の下に防振マットを敷く:脱水時の振動が床に伝わるのをやわらげる役割です。素材はポリウレタン系が防振性に優れると紹介される一方 [1]、ゴム製は床材との相性によって色移りの恐れがあるため [1]、賃貸では色移り対策(防振マットの章)までセットで考えます。
  4. 洗濯の時間帯を見直す:夜間は「うるさい」と感じられやすい時間帯です [1][2]。平日は朝7時〜夜9時、土日祝は朝9時〜夜9時が目安とする解説があります [1]。静音モード・予約機能で日中に自動で回す運用も紹介されています [1]。

この4つを押さえたうえで、各手順を詳しく見ていきます。

なぜ音が大きくなるのか:原因の4分類

洗濯機の音には、性質の違う2種類があります。

  • 固体伝播音(振動が床・建物を伝う音):脱水時のガンガンという振動音が代表。床を振動させて建物経由で伝わるため、壁で防ぎにくく、下の階に響きやすいタイプです [2]
  • 空気伝播音(空気を伝う音):モーターの動作音や給排水の水音など。防音カーテンや吸音材で減らす方向に働くタイプです [2]

そして「いつもよりうるさい」と感じるとき、原因は次の4つに分けてチェックできます [1][2]。

原因起こっていることチェック方法
洗濯物の入れ方大物と小物を混ぜて詰め込みすぎ、脱水の遠心力がかからない [2]量を約7割目安に減らす。毛布・シーツは単独で [1][2]
置き方(傾き・ガタつき)本体が傾いている・脚が緩んでいると振動が増幅 [1][2]水準器で確認し調節脚で調整(次章)
排水の流れが悪い槽に水が残ったまま脱水が始まると騒音 [2]排水パイプの位置、ホース・フィルターのゴミ詰まりを確認 [1][2]
故障量も設置も問題ないのに異音が続く [1][2]モーター等の不具合の可能性。修理か買い替え(寿命は約8年とされる [1])を検討

この表のとおり、防振マットを買う前に「原因チェック+水平調整」で小さくなるケースがかなりあります [2]。ここから、それぞれの手順を詳しく見ていきます。

原因チェックと水平調整:マットの前にやること

手順1:水平を確認する

多くの機種には内蔵の水準器が付いています。ふたを開けて水準器を真上から見て、気泡が基準内に入っているか確認します(機種により位置が異なり、非搭載の機種もあります [5])。非搭載の場合は、市販の水準器やスマホの水準器アプリで本体上面を確認する方法が使えます。

手順2:調節脚で高さを合わせる

公式の取扱説明に基づく基本の手順は次のとおりです [5]。

  1. 調節脚固定用ねじをゆるめる(多くの機種で調節できるのは右前脚など1〜2か所です。お使いの機種の取扱説明書を確認してください)
  2. 調節脚を回して高さを調節し、水準器の気泡が基準点に入るようにする
  3. 固定用ねじを締め戻す

調節脚で改善しないガタつきには、脚スペーサー(別売)が案内されている場合があります [5]。傾いたまま使うと振動が増幅されるため [1]、水平調整はすべての対策の前提です。

手順3:設置環境を確認する

  • 柔らかい床材や沈み込む床は振動を増幅させます [1]。洗濯パン(受け皿)の上に置く場合、パンのサイズに対して本体が収まっているかも確認します [1]
  • 本体の横移動・共振が原因の場合は、防振マットだけでは改善が難しいケースがあると指摘されています [4]

防振マットの選び方:素材と色移り対策

水平調整を終えたうえで、床への振動伝達を減らすのが防振マットです。まず素材ごとの特徴を表に整理します [1][4]。

素材特徴賃貸での注意
ポリウレタン防振性に最も優れると紹介される [1]厚みがあり軽量。カッターでカットできるタイプあり [2]
ゴム防振効果はあるが、床材との相性によって色移りの恐れ [1]クッションフロアとの色移り対策が必要(後述)
EVA弾力性がある [1]柔らかすぎると脱水時にぐらつく失敗例あり [4]
ポリカーボネート衝撃吸収に優れる [1]硬質。床の傷・へこみ防止向き [4]

選ぶときのポイントを整理します。

  • 「水平調整の代わり」にはならない:まず調節脚で水平・ガタつきを解消するのが前提で、マットは床保護・防音の補助的手段と位置づけるのが各社解説の共通認識です [4]
  • 柔らかすぎるマットは逆効果になり得る:脱水時に本体がぐらついて振動が悪化したという失敗例が紹介されています [4]。適度な硬さのあるものを選び、設置後に一度脱水を回して挙動を確認してください
  • 厚みの目安:10mm厚を洗濯パンのサイズにカットして敷いた実例では、洗濯パン上での滑りによる大きな音が解消され、振動音が小さくなったと紹介されています [2]。滑り止めとしての効果(揺れの衝撃音を吸収し、滑りを防ぐ)も期待できるとされています [2]
  • 重ね使い・通気に注意:マットを重ねて高さを増すことや、通気性が悪い状態のままにすることは、結露・カビの原因になり得ると指摘されています [4]。ときどきマットを上げて床面を確認する習慣が安全です

色移り対策(賃貸では必須級の確認事項)

ゴム製品とクッションフロア(賃貸の床に多いビニール系床材)の間では、色移り(変色)対策として間にマット等を敷く必要があると指摘されています [6]。変色は元に戻せないため、事前の対策が重要です。賃貸で防ぐ考え方は次のとおりです。

  1. ゴム製のマットを直接床に敷かない:ポリウレタン系・塩ビ系など色移りリスクが語られていない素材を選ぶか、間に色移り防止シートを敷く
  2. 敷いたら定期的に持ち上げて床面を確認する:色の変化に早く気づくほど対処しやすくなります
  3. 色移りは退去時に「手入れ不足」と判断され得る(原状回復の章):敷き始めと床面の状態を写真で記録しておくのが防衛になります

あわせて知りたい:かさ上げ台

防振マットの別解として、洗濯機をかさ上げする台を使う方法もあります。防音に加えて、下の通気によるカビ・悪臭対策や洗濯物の取り出しやすさの向上が紹介されています [1]。ただし高さが増すぶん転倒対策・耐震面の配慮が必要なため、物件の規約や説明書の指示を確認してください。

空気にのる音への対策

振動音(固体伝播)に対して、動作音や水音(空気伝播)は別のアプローチになります [2]。

  • 洗濯機と壁の間に吸音材を設置する:狭い洗面所で音が響く場合、壁からの音の反射・拡散を抑えることで空気伝播音を軽減する方法が紹介されています [2]。ポリエステル系の吸音材には水分を含みにくくカビが発生しにくいタイプがあり、水回りでも使えるとされています [2]
  • 防音カーテンで囲む:洗濯機まわりを防音カーテンで囲む方法も紹介されています [2]。洗濯機まわりに使う場合、洗濯時の湿気との相性や洗濯表示を確認してください。窓まわりの一般的な選び方は、防音カーテンの記事で整理しています
  • ふた付きの機種なら運転中はふたを閉める、洗濯機のメンテナンス(排水ホース・フィルターのゴミ除去)を定期的に行う [1]、といった基本の運用も空気伝播音を小さく保つ土台になります

時間帯の目安と運用

音の問題は「大きさ」と「時間帯」の組み合わせです。解説で紹介されている目安を整理します [1]。

  • 平日:朝7時〜夜9時
  • 土日祝日:朝9時〜夜9時
  • 小さな子どもが多い物件では、夜8時までが望ましいとする解説もあります [1]
  • 環境省の騒音に係る基準では、日中約55dB・夜間約45dBが目安とされ、洗濯機の音は40〜50dB程度と紹介されています [1]。夜10時以降の洗濯が直ちに法律違反になるわけではありませんが、夜間の基準値は低く設定されているため、配慮が必要な時間帯という位置づけです [1]
  • 早朝・深夜の静かな時間帯は「うるさい」と感じられやすい、という点も解説で共通しています [1][2]

運用の工夫としては、静音モードや予約機能を使って、日中に自動で洗濯が始まるようにする方法が紹介されています [1]。集合住宅によっては管理規約で洗濯機の使用時間が定められている場合があるため [1]、まず自分の物件の規約を確認してください。

苦情・相談の手順

「音がうるさい」という苦情が来てしまった、あるいは自分から先に話しておきたい場合の進め方です [1]。

  1. 使用時間帯の見直し+防振マット設置を第一歩にする:自分側でできる範囲を先に示すのが、各解説で共通する進め方です [1]
  2. それでも改善しない場合は、管理会社や大家に相談する:住民同士で直接のやり取りが難しい場合、第三者を介して解決を図る流れが紹介されています [1]。後々の記録としても、管理会社経由が確実です
  3. 建物構造に由来する部分は入居者側では対応できない:床の厚さや構造による音の伝わりやすさは、物件側の課題です。自分側の対策を終えたうえで管理会社に状況を伝えるのが正規の順序です

なお、隣の部屋の音が気になる「受ける側」の対策は、上の階の足音の記事やテレビの音漏れの記事で、自室側でできる整え方を扱っています。音の悩みは「出す側」と「受ける側」の両面から整えるのが現実的な進め方です。

原状回復:賃貸で後悔しないために

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、原状回復とは「賃借人の故意・過失など、通常の使用を超える使用による損耗・毀損を復旧すること」とされ、経年変化や通常の使用による損耗は賃借人の負担としない考え方が示されています [7]。区分として「A=通常の住まい方でも発生するもの(貸し手負担が基本)」「B=住まい方・使い方次第で発生するもの(賃借人に原状回復義務あり)」が示されています [7]。

洗濯機まわりをこの観点で整理すると、次のようになります。

  • 防振マットを敷くこと自体は、家具のへこみ防止にマットを敷くのと同じ系統の行為で、ガイドライン参考資料でも家具のへこみ防止のマット使用に言及があります [7]。ただし、
  • 色移りが起きた場合は「手入れ・管理不足」と判断され得る:変色は元に戻せないため、賃借人負担の対象になり得ます [6][7]。ゴム製を直接敷かない・定期確認・写真記録の3点セットが防衛になります
  • 水回りのカビは定常的な手入れの対象:洗濯パンまわりのカビは、放置で拡大したと判断されないよう日頃の手入れと記録を。カビの対処方法の詳細は窓の結露対策の記事で「混ぜるな危険」も含めて整理しています
  • 設置物は「置くだけ・剥がせる」ものに統一する:床への固定、洗濯パンの加工、排水管の改造は賃貸では対象外です。洗濯機の付け替え・持ち込みを伴う場合は、管理会社への事前確認が必須です
  • 退去の1〜2週間前にはマットをすべて外して床面を確認する:色移り・カビがあれば対処・相談する時間を残します

FAQ

Q. 洗濯機の振動音は、防振マットだけで止まりますか? A. なりません。まず洗濯物の入れ方・異物・排水の詰まりをチェックし、調節脚で水平にすることが前提です [1][2][4][5]。防振マットは床への振動伝達をやわらげる補助的手段で、柔らかすぎるものは脱水時のぐらつきで逆に悪化したという失敗例も紹介されています [4]。

Q. 賃貸で防振マットは敷いた方がいいですか? A. 軽量鉄骨造や2階の部屋では敷くことが推奨される意見が紹介されている一方 [3]、素材と床材の相性(色移り)の確認が欠かせません [1][6]。ゴム製をクッションフロアに直接敷かない、定期的に床面を確認する、を守ったうえで検討してください。

Q. 洗濯機の下のマットで床が変色しました。退去時に請求されますか? A. 手入れ不足で発生・拡大した損耗は賃借人負担の対象になり得るのがガイドラインの考え方です [7]。色移りは元に戻せないとされるため [6]、管理会社に状況を伝えて対応を相談してください。日頃の写真記録が話し合いの材料になります。

Q. 夜に洗濯してもいいですか? A. 夜10時以降が直ちに法律違反になるわけではありませんが、夜間の騒音基準は日中より低く設定されており、配慮が必要な時間帯とされています [1]。解説では平日朝7時〜夜9時・土日祝朝9時〜夜9時が目安とされています [1]。静音モード・予約機能で日中に回す運用も紹介されています [1]。

Q. 脱水のたびに大きな音がするのですが、故障ですか? A. まず量(約7割目安 [1])・詰め込みすぎ [2]・傾き [1][2]・排水の詰まり [2]を確認してください。それでも異音が続く場合は故障の可能性があり、寿命は約8年とされることから [1]、修理か買い替えの検討が案内されています [1]。

Q. 防振ゴムと防振マットはどちらがいいですか? A. ゴム製は防振効果がある一方、床材との相性で色移りの恐れがあるとされています [1]。ポリウレタン系は防振性に優れると紹介されます [1]。賃貸では「色移り対策までセットで考えられるか」が選択の分かれ目です。

この記事について

本記事は法律・不動産・家電修理の専門助言ではありません。紹介する時間帯・数値は環境省の基準や各社解説の紹介であり、物件の管理規約や機種の取扱説明書が優先します。洗濯機の分解・修理は行わず、異音が続く場合はメーカーサポートに相談してください。賃貸物件での対策にあたっては、事前に管理会社・貸主の許可と原状回復の確認を行ってください。

まとめ

洗濯機の振動・音対策について、本記事のポイントを整理します。

  • 音には振動が床を伝うタイプ(脱水時)と空気を伝うタイプがある。脱水の振動音は響きやすい [2]
  • まず原因チェック:詰め込みすぎ・異物・傾き・排水詰まり。簡単に小さくなる可能性がある [1][2]
  • 水平調整が最優先。調節脚+水準器の基本手順を守り、マットは「代用品にならない」前提 [4][5]
  • 防振マットはポリウレタン系が無難。柔らかすぎるものは逆効果、重ね使いはカビの原因 [1][4]
  • 賃貸では色移り対策が必須。ゴム製を床に直接敷かず、定期確認+写真記録 [1][6][7]
  • 時間帯の目安は平日7時〜21時・土日祝9時〜21時。静音モード・予約で日中運用 [1]
  • 苦情時は自分側の対策を先に示し、管理会社経由で相談するのが正規の順序 [1]

洗濯機の音は「完璧に消す」より「原因を減らし、伝わりにくくし、時間帯で配慮する」の組み合わせで現実的に小さくできます。まずは水準器を当てるところから、今日は始めてみてください。

出典・参考

  1. イナズマグループ「マンション・アパートの洗濯機騒音対策|使って良い時間帯・防音対策」
  2. ピア・ピアリング「洗濯機の騒音を今すぐ小さく!音対策の正解」
  3. Yahoo!知恵袋「賃貸物件で洗濯機の下に防振マットを敷くべきか?」(個人の見解の紹介)
  4. yoquna「洗濯機の防振ゴムで振動は止まる?効果・失敗例・買い替え目安」
  5. SHARP「設置(水平)状態の確認と傾き調整のしかた」
  6. 住まいWJC「賃貸物件で使われているクッションフロアとは?」
  7. 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)