窓の外から車の音や話し声が聞こえてくると、「窓一枚の性能で決まってしまう」と考えてしまいがちです。しかし窓まわりの防音・断熱は、**既存の窓の内側にもう一枚の窓を足す「二重窓(内窓)」**で改善できるとされており、最近では賃貸向けに穴あけ不要・退去時に取り外せる方式も登場しています [1][3]。
結論から言うと、賃貸で二重窓を導入する進め方は**「窓枠の奥行と採寸を確認する→大家・管理会社に相談する→設置方式(簡易DIY型・賃貸用内窓・プロ施工)を選ぶ」**の順が失敗の少ない進め方です。簡易DIYなら数千円から、メーカーの賃貸用内窓なら1窓あたりの施工が約60分と紹介されるなど、選択肢によって費用と手間が大きく変わります [2][3]。
本記事では、賃貸を前提に、原状回復できる範囲での二重窓の選び方・費用の目安・防音効果の実際(実測値つき)・効果が出にくいケースまでを整理します。
まずお伝えしておきたいこと 本記事で扱うのは「住環境の音・結露・寒さを整えるための工夫と商材選び」であって、音を完全に遮ることを約束するものではありません。防音性能の数値はメーカー公表値や簡易測定の事例であり、ご自身の物件・騒音の種類で同じ結果になるとは限りません。また、賃貸での工事・DIYは退去時の原状回復が前提です。窓枠やサッシを加工する「元に戻せない施工」は、必ず貸主の許可が別途必要になります。
目次
- 結論:賃貸で二重窓を入れる手順
- 二重窓の仕組み:空気層と遮音・断熱の理由
- 設置方式の比較:簡易DIY・賃貸用内窓・プロ施工
- 防音効果の実際:実測値と「効果の限界」
- 簡易DIYの作り方:レール差し込み型の手順
- 大家への相談と原状回復:賃貸で押さえるルール
- 効果が出にくいケースと失敗例
- 二重窓以外の選択肢:窓の防音を手軽に済ませる
- FAQ
- この記事について
- まとめ
結論:賃貸で二重窓を入れる手順
細かい理屈は後回しにして、着手できる順で3つ挙げます。
- まず窓を観察する:引き違い窓か・窓枠(サッシ枠)の奥行がどれくらいあるか・ガラスが単板か複層かを確認します。簡易DIY型は窓枠の奥行が設置の可否を分けます(後述の目安はレール幅の2倍)[2]。
- 貸主・管理会社に相談する:簡易DIYなら原状回復が容易なため必ずしも許可が要らないケースもありますが、リフォーム系メディアはいずれの方式でも事前相談を推奨しています [1]。無断で窓まわりを加工した場合、高額な原状回復費を請求されるリスクがあります [1]。
- 騒音の種類に合わせて方式を選ぶ:話し声や生活音をやわらげたいのか、電車・幹線道路のような強い騒音に対応したいのかで、選ぶべき方式と費用が変わります [5][6]。比較は後の表で整理します。
この順で進めれば、「設置してみたら窓が開かなくなった」「退去時に高額請求が来た」といった失敗を避けやすくなります。
二重窓の仕組み:空気層と遮音・断熱の理由
二重窓とは、既存の窓(外窓)の内側にもう一枚の窓(内窓)を設置し、窓を2枚にする構造です。音に対しては、外窓と内窓の間にできる空気層がクッションの役割を果たし、振動の伝わりを抑えると説明されています [5]。断熱に対しては、2枚のガラスの間の空気層が熱の出入りを減らし、室温が保たれやすくなるため冷暖房費の節約につながると紹介されています [1]。
防音効果を高める条件として、窓メーカー側は次の3点を挙げています [5]。
- ガラスを厚くする
- 外窓と内窓でガラスの厚みを変える(音の伝わり方を分散させる)
- 外窓と内窓の距離(空気層)を大きく取る
さらに副次的なメリットとして、気密性が上がることで結露が起きにくくなる点が挙げられます [3]。冬に窓まわりの結露やカビに悩んでいる部屋では、防音と合わせて確認する価値のある一手です(結露の対策の詳細は窓の結露対策の記事を参照してください)。
設置方式の比較:簡易DIY・賃貸用内窓・プロ施工
賃貸で選べる方式は大きく3つに分けられます。自分の「目的・予算・退去までの期間」に近い行を選んでください。
| 方式 | 費用の目安 | 原状回復 | 適した状況 |
|---|---|---|---|
| 簡易DIY(レール差し込み型・プラダン等) | 数千円〜 [2] | ◎ 両面テープ主体で取り外し可能 [2] | 話し声・生活音をやわらげたい。費用を最小限に抑えたい |
| 賃貸用内窓(ビス穴流用・穴あけ不要) | メーカー・窓サイズによる | ◎ ビスを使わず、退去時は剥がして処分 [3] | 自力施工は不安。断熱・結露対策も重視したい |
| プロ施工(本格内窓・防音窓) | 掃き出し窓8万〜25万円程度の例あり [6] | △ 許可と原状回復の確認が必須 [1] | 電車・幹線道路など強い騒音に本格対応したい |
プロ施工の例をもう少し具体的に見ると、防音系の窓ではメーカーにより性能と価格に開きがあります。YKK AP プラマードUは「外からの音を15デシベル低減」・掃き出し窓8万〜12万円程度、AGC まどまどは「外部の音を約40デシベルカット」、内窓PLASTは「最大45デシベル」とされ、価格は掃き出し窓で21万〜25万円程度の例が紹介されています [6]。数値は製品カタログ上の性能であり、設置条件で実感は変わります。
なお「10デシベル下がると音の聞こえ方が約半分になる」という目安が紹介されており、15デシベルの低減は体感としても大きな差になり得る一方、40デシベル級の製品は価格もそれに見合うものになります [5][6]。
防音効果の実際:実測値と「効果の限界」
二重窓・内窓の防音効果は、実測事例が公開されています。窓断熱研究所の測定では、窓を開けた状態で約78.0dBだった音が、窓を1枚閉めると約65.9dB、2枚(二重窓)閉めると約46.1dBまで下がったと報告されています [5]。別の事例では、施工前(単板ガラス・アルミサッシ)を閉めた状態の約60.5dBから、内窓施工後は約51.3dBと、約9.2dBの低減が報告されています [5]。※いずれもスマートフォンアプリによる簡易測定で、絶対的な性能を示すものではないと明記されています。
騒音の種類との相性を見るために、東京都環境局の音の目安を併記します [5]。
| 音源 | 音圧の目安 | 二重窓での対処しやすさ |
|---|---|---|
| 人の話し声 | 約50〜61dB | 比較的対応しやすい |
| 車のアイドリング | 約63〜75dB | 製品選びと空気層の確保がカギ |
| 電車の走行音 | 約80dB前後 | 本格的な防音窓が選択肢に |
| ピアノ | 約80〜90dB | 部屋の全周の対策が必要になることも |
一方で、二重窓の防音効果には限界があります。もうひとつの侵入経路として、窓まわりの隙間や壁そのものを通る音は窓だけでは消えません [6]。窓枠にたわみ・歪みがあって隙間が空いていると、防音ガラスを使っても十分な効果が得られないとされています [6]。さらに床を伝わる足音のような振動系の音は、窓の遮音の守備範囲外です(その場合は床の防音マットの記事が近い話題になります)。
つまり二重窓は「窓から入る空気伝搬音」への対策として強い選択肢であり、それ以外の音には別の対策と組み合わせる、という切り分けで捉えるのが現実的です。
簡易DIYの作り方:レール差し込み型の手順
費用を抑えたい場合、環境省の事例として公開されているレール差し込み型の簡易二重サッシが参考になります [2]。概要を整理します。
前提となる確認
材料と費用
- ポリカーボネート板(厚さ4mm)×2枚、レール(窓横寸法)、カブセ(コの字断面のプラスチック)、両面テープ等。総額約6,000円程度と紹介されています(業者依頼なら数万円)[2]
手順の概要 [2]
- 窓枠の奥行と横寸法を測り、レールを長さに合わせて切断する
- レールを両面テープで窓枠に貼る(溝が深い方が上・浅い方が下。上下の奥行位置を揃える)
- 板材は「横幅=窓枠横の半分+1cm」「縦=窓枠縦−2mm」で2枚に切断する
- 板の縦方向にカブセを付け、上レール→下レールの順に差し込む
構造としては窓枠にレールを両面テープで貼るだけのため、退去時には取り外して原状復帰が可能とされています [2]。ただしプロ施工と比べ性能は劣る可能性があり [1]、隙間処理や板の剛性の分だけ防音・断熱効果は控えめに見積もるのが現実的です。
大家への相談と原状回復:賃貸で押さえるルール
賃貸での窓まわりの施工は、原状回復ガイドラインの考え方を押さえておくと相談がしやすくなります。国交省のガイドラインでは、賃借人に回復義務があるのは「故意・過失や通常の使用を超える使用による損耗・毀損」で、経年変化や通常の使用による損耗は貸主側の負担とされています [4]。窓まわりへの変更・付加は「使い方次第で生じたもの」と判断されやすいため、事前に許可を得ておくことが原則です [4]。
相談時に伝えると良いことは次の3つです。
- 何をするか:「既存の窓に穴を開けない内窓を設けたい」「退去時に取り外して原状復帰する」など、工事の内容と原状回復の方針を具体的に伝える
- 費用負担は誰が持つか:プロ施工の場合、設置費用・原状回復費用をどちらが負担するかは設置前に話し合う必要があるとされています [1]。騒音・結露が建物側の要因と考えられる場合は、貸主負担に動く交渉の余地もあります
- 契約書の記載を確認する:ガイドラインは「契約締結時に双方が条件をよく確認し、納得したうえで契約する」ことをトラブル防止の基本としています [4]
簡易DIY型のように原状回復が容易なものは「必ずしも確認は不要」と紹介される一方、リフォーム系メディアはいずれの場合も事前相談を第一歩として推奨しています [1]。小さな一手であっても、一言添えておくと退去時のトラブルを減らせます。
効果が出にくいケースと失敗例
二重窓を選んだのに「あまり変わらない」となりやすいパターンを挙げます。
- 窓以外からの音が支配的だったケース:音の出入り口は窓だけではありません。ドアや換気口の隙間が大きい場合、先にドアの隙間テープで隙間を減らすほうが費用対効果が高いことがあります
- 壁・パネルで対応すべき音だったケース:室内側の反響(響き)が気になる場合は、内窓より吸音パネルや本棚・厚手カーテンの設置が適切です(防音パネルの記事を参照)
- 空気層が極端に薄いケース:外窓と内窓の距離が近すぎると、空気層のクッション効果が十分に働かないと説明されています [5]。窓枠の奥行が浅い物件では、この点が制約になります
- 窓枠の歪み・たわみを放置したケース:隙間があると防音ガラスでも効果が出にくいとされています [6]。設置前に窓まわりの隙間を確認し、必要なら隙間テープで併用します
- 未測定のまま高額な方式に進んだケース:スマホの測定アプリでも構わないので、導入前の音圧を記録しておくと、導入後に「どれだけ変わったか」を客観的に確認できます [5]
二重窓以外の選択肢:窓の防音を手軽に済ませる
「退去までの期間が短い」「窓枠の奥行が足りない」といった場合は、窓まわりの軽い対策から始める選択肢もあります。
- 窓用の防音シート・断熱シート:窓に貼るタイプのシートは、防音に加えて結露対策としても使われることがあります [1]。効果は控えめですが、数百円〜で試せます
- 厚手の防音カーテン:隙間風と音の軽減に幅広く使われる選択肢です(防音カーテンの記事・レンタルの遮光カーテンの記事を参照)
- 二重窓仕様の部屋を選び直す:リフォーム系メディアでは、騒音に敏感な場合は「カスタマイズ可の賃貸物件」「リフォーム済み物件」を探すという視点も紹介されています [1]
いずれも「窓から入る音を減らす」という同じ方向の対策で、併用して効果を積み上げる使い方が現実的です。
FAQ
Q1. 賃貸でも本物の二重窓を入れられますか? A. プロ施工の本格的な内窓は、貸主の許可と原状回復の確認が前提になります [1]。穴を開けない賃貸用内窓(既存のビス穴を流用するタイプ)もあり、施工が約60分・退去時に剥がして処分する方式が紹介されています [3]。
Q2. DIYでどれくらいの費用がかかりますか? A. 環境省の公開事例では、ポリカーボネート板とレールで総額約6,000円程度と紹介されています [2]。メーカーの賃貸用内窓やプロ施工になると、窓の種類とサイズによって数万〜数十万円の目安になります [6]。
Q3. 防音効果はどのくらい期待できますか? A. 簡易測定の実測事例では、窓1枚から2枚にすることで約9.2dBの低減が報告されています [5]。メーカー公表値では15dB低減とする製品から、防音特化型では40〜45dBとする製品まで幅があります [5][6]。ただし条件により大きく変わるため、実感としては「導入前後を自分の耳で比較する」のが確実です。
Q4. 許可なしで入れるとどうなりますか? A. 原状回復の範囲で済む簡易DIYなら問題になりにくい一方、窓まわりの加工は「通常の使用を超える変更・付加」と判断されやすい領域です [4]。無断で行った結果、高額な原状回復費を負担するリスクがあるため、リフォーム系メディアは事前相談を推奨しています [1]。
Q5. 結露対策にもなりますか? A. なります。二重窓は気密性が上がることで結露が起きにくくなると紹介されています [3]。窓の断熱性が上がるため冬の室温も保たれやすく、暖房費の面でもプラスに働くとされています [1]。
Q6. 足音など床を伝わる音にも効きますか? A. ほとんど効きません。窓の遮音は「空気を通って窓から入る音」が守備範囲で、床や壁を振動として伝わる固体伝搬音には別の対策が必要です(床の防音マットの記事を参照してください)。
この記事について
本記事は医療・法律・不動産の専門助言ではありません。睡眠や心身の不調に関するお悩みは、医師・専門機関にご相談ください。紹介する商材・手順は一般的な情報であり、効果は住環境や物件によって異なります。賃貸物件での施工・DIYにあたっては、事前に管理会社・貸主の許可と原状回復の確認を行ってください。
まとめ
- 賃貸の二重窓は**「窓枠の確認→貸主への相談→方式選び」**の順で進めるのが失敗の少ない進め方 [1]
- 簡易DIYは約6,000円程度・退去時も取り外し可能で、賃貸用内窓はビス不使用・約60分施工の選択肢もある [2][3]
- 防音効果の実測事例は約9.2dB低減、メーカー公表値では15dB〜最大45dBと幅がある [5][6]
- 効果の対象は「窓から入る空気伝搬音」。床を伝わる足音や壁の反響は別の対策と組み合わせる
- 結露・寒さ対策との相性が良く、冬に向けて確認したい一手
窓まわりの防音は、「音の入り口」を直接減らせる数少ない賃貸向けの一手です。まずは窓枠の採寸と、導入前の音の記録から始めてみてください。





